後見制度研修会

 熊本県重症心身障害児(者)を守る会では、10月3日(土)、くまもと江津湖療育医療センターにおいて研修会を開催しました。
 秋の風が心地よい気候の中で、会員及び江津湖療育園スタッフを含め約50名の方たちが真剣にペンを取り講師の話に耳を傾けていました。
 講師を務める坂井司法書士の都合で、午前中は熊本県重症心身障害児(者)を守る会顧問の本松さんの話を聞くことになりました。

 娘さんが、くまもと江津湖療育医療センターに入所している本松裕生さんは、「天から授かった宝物」(重症児者と親の心情)演題で講演されました。参加者の親たちは自分の体験と重なるのか涙を隠しながら真剣に聞いていました。

障害児が生まれた時の親の心境

本松さんは、障害児が生まれた時の親の反応と変化を次のように話された。

  • ショック時(どうして、なぜ我が家に・・・)
  • 否定時(障害?そんなはずはない!治るに決まっている)
  • 医者巡り、神頼み時(藁にも縋る思いの時)
  • 悲しみと怒り時(随分長く続く)①子供を不憫に思い、ある時は子供と心中したいと思う。②親の無念を詫びたり、色んな心理が去就する。
  • 現実を受け止める時期(子供の障害を素直に認める)
  • 親として何をなすべきかが判る時期。①子供の希望を叶える(外泊・外出等)。②最も弱い立場にある人を一人もれなく守る。(守る会活動)

本松さんの資料…必要な方は一番下のダウンロードをクリック!

 

昼食後は第2部として、坂井孝臣司法書士から「成年後見制度の現状と今後について」との演題で講演及び質疑応答を行いました。


 成年後見制度は、2026年(令和8年)6月に民法等の改正法が成立・公布されました。従来の「本人保護中心」の制度から、「本人の意思決定を尊重し、必要な範囲だけ支援する制度」へ転換するのが大きな方向性です。

現在の制度の課題

これまでの成年後見制度では、

  • 「一度利用を始めると、本人の判断能力が回復しない限り終了できない
  • 後見・保佐・補助」の3類型が硬直的
  • 後見人に強い権限が与えられ、本人の自己決定が制限される場合がある
  • 後見人の交代が難しい・・・といった問題が指摘されていました。

改正の主なポイント

1. 「終われる後見」へ

従来は原則として本人が亡くなるまで制度が継続しました。改正後は、判断能力が回復していなくても、支援の必要がなくなったと家庭裁判所が認めれば制度を終了できるようになります。例えば、遺産分割や不動産売却のために利用した場合、その目的が終われば終了できる可能性があります。

2. 「後見・保佐・補助」の一本化

従来の3類型が見直され、補助制度をベースとして、必要な権限だけを個別に付与する仕組みに変わります。

例えば、

  • 不動産売却だけ代理してもらう
  • 特定の契約だけ支援を受ける

など、本人の状況に応じたオーダーメイド型の支援が可能になります。

3. 本人の意思尊重の強化

家庭裁判所が支援者を選任する際に本人の意見を重視し、支援者にも本人の意向把握や情報提供が明確に求められます。

4. 支援者(後見人等)の交代がしやすく

従来は不正行為などがない限り交代が難しかったのですが、「本人の利益のために特に必要がある場合」に交代を認める仕組みが導入されます。

5. 任意後見制度の改善

判断能力が十分なうちに契約しておく任意後見についても見直しが行われ、

  • 監督開始の仕組みの改善
  • 法定後見との併用の柔軟化

などが図られています。

いつから始まる?

改正法は2026年6月に成立・公布されました。成年後見制度に関する改正部分は、公布の日から2年6か月以内に施行される予定です。つまり、遅くとも2028年末頃までには新制度が始まる見込みです。

今日の勉強の結論

ひとまず覚える7つのポイント

  • 成年後見制度そのものは変わらない
  • 改正法は成立したが、新制度はまだ始まっていない。
  • 新制度では「後見・補佐」が廃止され、「補助」に一本化
  • 重い障害がある人も、新制度による支援の対象である
  • 現在、既に始まっている成年後見は、改正後も従来の制度が続く
  • 親族後見人が改正を理由に一律に専門職へ交代する制度ではない
  • 家庭裁判所による定期監督・報告は今後も重要だが、施行後の具体的な方法は今後の運用を確認する必要がある。

お礼の挨拶

 最後に満園副会長(江津湖療育保護者会)からお礼の挨拶があった。
 前半では本松さんからこれまでの苦悩や経験を踏まえた貴重な話を頂きました。また、後半に坂井司法書士からは、成年後見制度の現状や今後について分かりやすくお話しいただきました。
 私達、保護者にとって「子供たちの日常生活」「親なき後」を考えることはとても大切な課題です。お二人の話を聞き、元気な今のうちに家族で話し合い、障害児・者を中心に物事を考えて参ります。お二人そして参加者の皆さんに感謝です。

美味しい弁当も頂きました

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