全国重症心身障害児(者)を守る会創立60周年記念大会(報告)
全国から800名参加
令和6年9月28日(土)~29日(日)、グランドニッコー東京台場にて、「全国重症心身障害児(者)を守る会 創立60周年記念大会」が開催された。
28日は天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、記念式典を挙行され、全国から重症心身障害児(者)の家族や行政関係者、医療・福祉・教育関係者など約800名が一堂に会した。
天皇陛下から「重い障害のある人たちが、施設においても、地域においても、かけがえのない人生を豊かに生きていくことのできる社会が続いていくことを望んでいます」とのおことばを賜り、重症心身障害児者とその家族にお心を寄せていただいたことには参加者の一人として、胸が熱くなった。
同日夕方からの「感謝の集い」では、守る会が今まで「両親の集いの発送」「お誕生日カード作成」「支部活性化事業への経済的支援」等々60年にわたり支え続けていただいている8団体・個人の皆様に感謝を捧げた。この支援の中の正派若柳流若柳会様には日本舞踊を懇親会前の祝宴としてご披露いただいた。 翌29日には全国社会福祉協議会の村木厚子会長が「支えること 支えられること」をテーマに特別講演を行われた。自らの経験をもとに、具体的な例を挙げ、生き方のヒントや知恵等の大切なことを語られ、大きな温かいエールを届けられた。
天皇陛下のお言葉
挨拶に先立ち、この度の大雨により亡くなられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに、御遺族と被災された方々にお見舞いを申し上げます。特に能登半島では、年初の地震からの復旧・復興への歩みを進める中で大きな被害が生じたことに心を痛めており、被災された方々が安心できる生活が一日も早く戻ることを心から願っています。
全国重症心身障害児(者)を守る会が創立60周年を迎え、ここに記念式典が催されることを誠に喜ばしく思います。
この会は、心身に重い障害のある子どもの、人間としての尊厳と命を守りたいという親たちの切実な願いによって、昭和39年に発足しました。その当時、福祉に対する人々の関心はまだ低く、知的にも身体的にも重い障害のある子どもを持った親たちの苦労は、今日からは計り知れないものがあったと思います。苦悩を共にする親たちが、厳しい状況の中で、この会を結成し、互いに手を携えて子どもたちの命を守り、子どもたちを大切に育んできた努力に心から敬意を表します。また、困難に立ち向かう親たちを励まし、重い障害のある人たちを支援してきた関係者の献身的な活動にも大きなものがあると思います。
会の発足当時と比較して、重い障害のある多くの人が、医学の進歩により命を助けられ、医療と福祉に支えられながら、生きる力を絶やすことなく、明るい笑顔を見せて生活していると聞いています。同時に、近年のコロナ禍においては、施設に入所中の人たちが、家族との面会の機会を長期間閉ざされるなど、困難な状況にあったと聞きます。このような経験を乗り越え、重い障害のある人たちが、親や周囲の人々の愛に支えられて、この大会に参加していることをうれしく思います。そして、重い障害のある人たちが、施設においても、地域においても、かけがえのない人生を豊かに生きていくことのできる社会が続いていくことを望んでいます。
「最も弱いものをひとりももれなく守る」という理念に基づいて始められたこの会が、重い障害のある人たちに対する社会の理解を更に深め、それぞれの生きる道について、様々な可能性を引き出していくことを期待いたします。今後とも、多くの人々の理解と協力により、重症心身障害児者の福祉が一層充実していくことを願い、式典に寄せる言葉といたします。(宮内庁ホームページより)
場所
熊本からの参加者
全国重症心身障害児(者)を守る会熊本県支部からは、18名(保護者等15名、施設等3名)が参加した。60周年記念大会を満喫するとともに全国の仲間と交流を深めました。
感謝の集い
感謝状授与の後、懇親会が催された。九州ブロックは舞台から2番目の列に準備され熊本から参加した女性群は沖縄県支部の方々と同じテーブルとなり会話が弾んだ。
男性軍は中央に近いテーブルを確保し、施設ごとの交流が活発にできた。
特別講演「支えること 支えられること」
村木厚子((社福)全国社会福祉協議会会長)
事件から学んだこと
大阪地検の拘置所に164日間拘留される。(当時日本人として最長の拘留期間(笑))
好奇心を持っての生活・・・8~9割は不安だったが1~2割は好奇心が持ち上がってきた。
3畳間程度の鉄格子付きの1人部屋。小さな窓、むき出しの洋式トイレ➡常に外から見える状況。
同じ人間でありながら、昨日まで支える側の人間であったが、一夜にして支えられる人間となった。逮捕された時は人相の悪い写真が使われる(笑)村木さんは強いねぇ・・・と言われた。自分は強くないけど頑張れた。
プロの支援
問題解決型支援…専門家の「弁護士」が接近できる唯一の人。裁判までの流れ、今やらなければならない事項、解決するたの適切なアドバイス。問題を解決するためには専門家の意見が大切。医療や福祉の社会でも同じだと思った。
伴奏型支援・・・どうしたいのか?自分に主体性を持たせる方法。自分を主体に考え隣で伴奏するような支援の仕方
インフォーマルな支援(家族、友人、同僚等)
家族は200%信じていた。
弁護士が接見の時そっと隠すように見せてくれた、友人・同僚からの「真実を貫け」のメッセージには力づけられた。
誰かの為に
無罪を勝ち取り復職し、福島県(郡山)に避難者を激励に行った時、励ます立場でありながら、避難者の方から「良かったねぇー」「頑張ったネェー」との励ましの言葉を逆にもらった。同行の人に言われた。「いい仕事をしたね。誰かを励ますことが元気になるんだよ。避難者の人達は貴方を励ますことができ元気になるんだよ」
世間も案外大事
保釈された後の話・・・報道等で顔が売れてきたのかタクシーの運転手、駅の売店の売り子さん等が「頑張れ!」とのエール。娘と大阪のもんじゃ焼きを食べた時、遠慮なしの数人の大阪人がは「どこから来たのか?」「大阪は初めてか?」など一般的な話をしていたのに、別れる時にそっと「真実は一つだ!頑張れ」と言われた。相手に気遣う支援も学んだ。
福祉の新しい流れ
生活困窮者の共通点・・・社会とのつながりが切れている。4つの基本的視点等資料を使っての説明。
「自立」とはたくさんのものに少しずつ依存できるようになることである。小児科の医者:熊谷晋一朗)
鎖の強さは何で決まるか?
一番弱い所から切れる。一番弱い所の大切さを学ぶ➡人間社会でも同じ。一番弱い人の大切さ。社会システムの変化(行政依存型社会➡市民自立型社会)
みんなで取り組むために
聞く・伝える・・・現場の声、当事者の声、知らないと怖い。
繋がる(縦・横)、つなげる・・・分裂すると弱い。みんなの力で役所をくっつける。
役所と付き合う・・・陳情・要望の時だけのつい愛になっていないか?将来の話、次のテーマ、困っている人の具体的事項を情報提供し、たまには褒めてやること。
元気で活動する・・みんなに励ましてもらう。最高の力の源
困難に遭遇した時の為に
好奇心・・あまり先のことを考える等辛くなる。一晩寝たら明日は新しい自分に会える気持ち
経験・・深夜の取り調べ➡霞が関の仕事に比べれば楽。今必要なことだけ考える、他のことは考えても解決することはない、と悟る。は誰でも一夜にして「支えられる存在」になる。
気分転換・・・拘置所時代何もすることがないので気分転換に色々な本を読んだ。
無駄な時間はない。
食べて寝ること・・・食べることができ、眠ることができている時は安全。物が食べられなくなったり、夜眠らなくなった場合は注意をしなければならない。
事件とは?
2009年6月、厚生労働省企画課長時代に、自称障害者団体「凛(りん)の会」に偽の障害者団体証明書を発行し、不正に郵便料金を安くダイレクトメールを発送させたとして、大阪地方検察庁 に虚偽公文書作成・同行使の容疑で逮捕された事件。翌2010年9月、無罪を訴えた村木に対して大阪地裁は無罪判決を言い渡した。
2年後の熊本大会を成功させよう!
守る会全国大会は来年(2025年)北海道札幌市で開催されますが、2026年は熊本市で開催されることが内定しています。全国の仲間を気持ちよく受け入れるためには熊本県支部会員一同「おもてなし」の心が準備が必要です。
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